歯の定期検診
歯医者さんで定期検診はちゃんと受けていますか?
何か歯にトラブルがあったあとではなく、最近は予防のために定期検診を受けることが推奨されています。
自分では気づかなくても、実は大きな問題を抱えていたということも少なくありません。
これは私が歯の定期検診を受けずに、大きな問題を抱えてしまった時のお話です。
歯みがきをおろそかにした日々
大学を卒業後、私は地元から離れて一人暮らしを始めました。
地元ではかかりつけの歯医者さんに2か月に1回のペースで通い、虫歯も歯周病もない健康的な歯を保っていました。
しかし地元を離れてからというもの、新しい歯医者さんを探すことのめんどくささと仕事が忙しいことを理由に、歯の定期検診に通うことをやめてしまいました。
正直今まで歯にトラブルを起こしたこともなかったことから、「こんな頻度で歯の定期検診をする必要なんてあるの?」と疑問に思っていたこともあります。
お金のない当時の私は、歯の定期検診で払うはずだった診察料を自分のちょっとした贅沢用の貯金に回すようになり、自分の歯のことなんて全く気にかけることもなくなってしまいました。
最初は気合も入ってキッチリとした生活を心掛けていた一人暮らしも、数年経つとダラダラとハリのない生活に変わっていました。
何かを口に入れていないと落ち着かない日々。そのくせに歯磨きの頻度は前よりも減り、おろそかになってしまいました。
夜遅くに帰ってきて、歯磨きもせずにそのままベッドで寝落ちすることもしばしば。
そんな生活を続けていて、何も起きないはずがありません。
ある日、朝の歯磨き中にちょっとした違和感を感じました。
「ん?なんか歯がしみるような気がする……。」
下の奥歯に微かにズキンとした感覚がありました。
なんだろう?と念のために鏡で確認してみても、特に変わったところはありません。
「知覚過敏にでもなったかな?」
歯も黒くなってないし虫歯ではないだろうと、その時私はそのわずかな痛みを放置してしまいました。
それからは時々、冷たい飲み物を飲むときなどに歯がしみる感じを経験していましたが、放置して過ごすこと1年ほど……。
それは突然のことでした。
晩御飯に温かいスープを飲もうと口に運んだ瞬間に、
ズキン!!!!
いつもしみる歯の部分に、重い痛みが走りました。
それはしばらく余韻が残るような鈍い痛みで、この時初めて「ちょっとヤバいかも。」と思いました。
私はすぐに、近所で腕がいいと評判の歯医者さんへ予約を入れましたが、人気があるところだったので、診察日は予約を入れてから1週間以上も後になってしまいました。
痛みの正体は……
診察日、問診票を書いていくつかの質問に答えてから検診を受けました。
「リラックスして口を大きく開けてくださいねー。」
その時はニコニコしながら対応してくれていた歯科衛生士さん。
奥の歯から順番にチェックして、隣にいる助手の人がそれを書き込んでいます。
何を言っているのかは全く分からないけれど、痛みが走った歯の付近になると「んー!?」と明らかに驚いたような表情になっていました。
(うわー!絶対何かあるやつじゃん!)
プロの人の困った顔を間近で見るのは、やはりどうしても恐怖感が湧いてしまいます。
隣で書き込んでいる助手の人まで驚いた顔をしているようで、私はめちゃくちゃ怖くなってしまいました。
歯のチェックが終わってしばらく待機した後、さっきの歯科衛生士さんがやってきました。
「ちょっと気になる部分があるので、レントゲンを撮らせてくださいねー。」
そう言って案内されたレントゲン室。
綿を噛まされて、暗い部屋の中で一人残されてしまいます。
ただでさえ怖いのに、暗所恐怖症の私はその状況でパニックになりそうになのを目を瞑って耐えるのがやっとでした。
レントゲン撮影が終わって元の診察椅子に戻りしばらくすると、歯医者さんが私のレントゲン写真を持ってやってきました。
「ちょっとレントゲンを撮ってみた結果なんだけど、ちょっと大きめの虫歯になってるねー。」
歯医者さんが指で示してくれたのは、ちょうど痛いと思っていた歯でした。
私は素人なのでレントゲン写真を見ただけじゃ何も分かりませんでしたが、歯医者さんによると、歯の内部が大きな虫歯で浸食されているというのです。
いまいち半信半疑な私に歯医者さんは、歯鏡で私の奥歯の裏を映しました。
すると普段は見えない奥歯の側面に、小さな黒い点があるのが見えました。
「ここから中に虫歯菌が入っていっちゃったんだねー。こんなになるまで痛くなかったの?」
不思議そうな顔をした歯医者さんに、私は正直に、前から少し歯がしみるような違和感があったことを伝えました。
「違和感があったら、すぐに歯医者に来ないとダメだよ!今回みたいに大事になるからね!」
少し厳しめに言われてシュンとしてしまう私。
説明を聞くと、どうも私の虫歯は思ったよりも大きいらしく、最悪の場合は抜歯しないといけないかもしれないと言われました。
「まだ20代なのに自分の歯を1本失うなんて……!」
私はものすごくショックを受け、めんどくさいと思って今まで痛みを放置していたことを後悔しました。
落胆する私に、今度は優しい口調で歯医者さんはこう言ってくれました。
「大丈夫!先生が全力で治療のサポートをするから、一緒に頑張っていこう!」
きっと怒られると思っていたので、優しくそう言ってくれた歯医者さんの言葉には少し驚きました。
私はその言葉のおかげで、不安と落胆の気持ちがスッと落ち着いていったのを覚えています。
後日、治療の日は麻酔を伴ったものになりました。
麻酔は効いていましたが、自分の歯に大きな穴を開ける嫌な音と歯を削られる不快な感覚で、大人ながら涙が出てしまいました。
見た目は普通の白い歯でしたが、歯の内部に浸食した虫歯は大きく、もう少し遅かったら抜歯だったと言われました。
神経を抜いてしまうことにはなりましたが、腕のいい歯医者さんのおかげで、削ってかぶせ物をすることで自分の歯を抜くことなく保つことができました。
虫歯の治療が終わった後も、私は数週間に一度、歯磨きのチェックのために歯医者さんに通うことになりました。
その時に初めて知ったのが、デンタルフロスの重要性です。
私のように歯の側面から虫歯になることは多いようで、その場合たいていデンタルフロスで歯の間の歯垢を落としていないのが原因だと言われました。
私は今までデンタルフロスを使うことがほとんどありませんでした。
なので、歯科衛生士さんに使い方を教えてもらって実際に使った時、こんなにも歯垢がとれていないものなのかと驚きました。
歯磨き粉の清涼感のせいで歯磨きをした気分になってしまっていて、実際は全く磨けていなかったことを、この時初めて痛感しました。
定期検診は大切!
あの大きな虫歯の治療から、今年でもう5年以上経ちます。
今でもあの時にお世話になった歯医者さんには、3か月に1回のペースで定期検診に通っています。
定期検診では、ピンク色の染め出し液を使った歯みがき指導を受けて、磨き残しの多いところを毎回チェックしてもらっています。
定期的に診てもらっているおかげで、現在私の歯に虫歯は1本もありません。
今まで歯のことなんかまったく気にしていなかった私ですが、いざ虫歯ができて自分の歯を失うかもしれないという状況に立った時、後悔の気持ちがとても大きかったです。
自分の歯で物を食べられることは当たり前だと思っていましたが、メンテナンスを怠ると案外すぐに当たり前ではなくなってしまうと痛感しました。
歳をとっても自分の歯を健康に保つために、歯医者さんでの定期検診は絶対に必要なことだと思います。
kitsuneko22著
